パティシエの年収はどれくらい？年収アップの方法とは

1. パティシエの年収はどれくらい？

パティシエの仕事は、新しいスイーツを生み出す創造性と、お客様に喜びを届けるサービス精神が求められる、とても魅力的な仕事。
一方で、「実際にどれくらいの収入があるのか」は、進路を決めるうえで欠かせない現実的な要素でもあります。

ここでは、厚生労働省の「令和6年 賃金構造基本統計調査」のデータをもとに、パティシエの平均年収や初任給の目安、地域や経験年数による違いなどをわかりやすくお伝えします。

1.1.平均年収

パティシエの全国平均年収は、約366.2万円と報告されています。これは、日本全体の給与所得者の平均年収（約460万円）と比べると、やや低めの水準となります。

なお、ここで示されている金額には、和菓子職人やその他の食品製造に従事している職種も含まれているため、実際のパティシエの年収は、勤務先の規模や業態、個人のスキルや経験によって大きく異なります。

1.2.初任給の目安

短大や専門学校を卒業してパティシエとして就職した場合の初任給は、月給20～22万円ほどが目安です。
高校卒業後すぐに就職する場合や、未経験で働き始める場合は、15～18万円前後からスタートするケースもあります。
これらの金額はあくまで目安であり、勤務する地域やお店の規模、福利厚生などによって変動します。

なお、ここから税金や社会保険料などが引かれるため、実際の手取り額は12～15万円程度になることも。
最初のうちは、経済的にやや厳しさを感じることもあるかもしれません。

1.3.地域ごとの年収差

地域によっても、年収に差があることがわかっています。

たとえば…
● 東京都：平均 約362.7万円
● 北海道：平均 約335.9万円
● 大阪府：平均 約440.4万円

このように、勤務地によって収入の傾向にも違いが見られるため、就職先を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。

1.4.経験年数別の年収目安

パティシエとしての年収は、経験を重ねるにつれて少しずつ上がっていく傾向があります。技術の習得や信頼の積み重ねが評価され、役職や仕事内容にも変化が出てくるからです。

厚生労働省のデータをもとにした月給の目安は、以下のとおりです。

【経験年数別の月収（所定内給与額）】
0年　
19.61万円

1～4年
20.92万円

5～9年
22.6万円

10～14年
23.54万円

15年以上
27.35万円

出典：job tag（厚生労働省職業情報提供サイト（日本版O-NET）） 令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成

日々の努力や経験が少しずつ実を結んでいくのが、パティシエという職業の魅力でもあります。

たとえば、ホテルや大手企業でシェフパティシエ（パティシエ長）として活躍する場合には、年収400万円以上を目指すことも可能です。
さらに、有名スイーツ店のシェフパティシエとして活躍し、テレビ出演や書籍の出版などを通じて年収1,000万円以上を得ている事例もあります。こうした成功には、長年の経験と高い技術力、そして発信力が大きく関係しています。

地道な積み重ねの先に、自分らしい働き方や夢の実現が待っているかもしれません。

2. パティシエの年収アップの方法は？

「パティシエは収入が低い」といわれることもありますが、実際にはさまざまな道を選ぶことで、年収アップを実現している方も多くいます。
ひとつの働き方にとらわれず、自分らしいキャリアを描いていくことで、夢の実現や生活の安定にもつながっていくのです。

では、どのような経験を重ね、どんな選択をしていけばよいのでしょうか？

ここでは、現場で活躍するパティシエの方々の実例を交えながら、年収アップにつながるいくつかの道をご紹介します。

2.1. 役職やスキルアップで昇給を目指す

ホテルや有名レストランなどで経験を積み、シェフパティシエ（パティシエ長）として役職に就くと、年収アップを目指せることも。

シェフパティシエはメニューの開発、スタッフのマネジメント、原価管理など幅広い業務に携わる立場です。
そのぶん責任も大きくなりますが、スキルアップとともに収入の向上が期待できるステップでもあります。

2.2. 独立してオーナーパティシエになる

「いつか自分のお店を持ちたい」という夢を持つ方も多いのではないでしょうか。

オーナーパティシエとして独立し、経営に携わるようになると、中には年収1,000万円以上を実現している方もいます。
ただし、これには卓越した製菓技術だけでなく、資金計画やマーケティングといった経営者としての手腕が不可欠であり、誰もが成功できるわけではない厳しい道でもあります。
たとえば、世界的に有名なパティシエの店舗では、店頭での販売だけでなく通販や企業コラボレーションを通じて多角的に展開し、大きな成果を上げています。

さまざまな店舗で「有名パティシエ〇〇監修」といった文字を見かけたことはありませんか？
そのスイーツの背景には、独立したパティシエが企業と手を取り合いながら、自分の世界観を届けている姿があります。

2.3. コンクール受賞やメディア露出で知名度アップ

国内外のスイーツコンテストでの受賞や、テレビ・雑誌での紹介を通して知名度が上がると、企業からの監修依頼やコラボ商品の企画など、新たな収入源が生まれることもあります。

監修やタイアップ案件では報酬が得られるケースもあるなど、技術と実績がそのまま評価につながる道でもあります。

2.4. SNSやYouTubeなどで情報発信

今では、SNSやYouTubeを活用してスイーツのレシピや作り方を発信するパティシエも増えています。
視聴者からの支持を集めることで、広告収入や企業案件、さらには書籍出版や商品開発など、さまざまな収入の可能性が広がります。

自分の「好き」を発信し続けることが、ブランドづくりやファンとのつながりにつながっていくのです。

2.5.短大や大学・専門学校で資格取得や技術を磨く

基礎力をしっかりと身につけることは、キャリアのスタートを有利に進めるための大きな一歩。
専門学校では、実習やインターンを通じて即戦力としての力を身につけやすく、初任給の水準や就職先の選択肢にも良い影響があります。

また、大学や短大では、製菓技術に加えて栄養学や経営学など幅広い知識を学べることが魅力です。お菓子づくりの背景にある理論を理解することで、より深い視点からスイーツと向き合えるようになります。

進学先によっては、就職支援や業界とのネットワークが充実しているところもあり「どんな道に進みたいか」に合わせて、安心してキャリアを描いていけるのも嬉しいポイントです。

ひとりひとりの「やりたいこと」や「目指したい未来」によって、進む道はさまざま。
自分に合った働き方や強みを見つけながら、年収アップも視野に入れたキャリアを築いていきましょう。

3. まとめ

パティシエという仕事は、「好き」という気持ちを原動力に、努力や工夫によって道を切り開いていける魅力的な職業です。
収入や働き方は一人ひとり異なりますが、スキルを磨いたり、新しいことに挑戦したりすることで、自分らしいキャリアを築いていくことができます。

どんなふうに働きたいのか、どんな自分でいたいのか。
未来の姿を思い描きながら、一歩ずつ積み重ねていくことで、その想いはかたちになっていきます。

短大や大学、専門学校で基礎をしっかり学び、現場で経験を積み重ね、チャンスを逃さず行動していく。
そんな日々の積み重ねが、やがて大きな可能性へとつながるはずです。

パティシエの道は、決して簡単なものではありませんが、自分の手で生み出したお菓子で誰かを笑顔にできる、かけがえのないやりがいがあります。

パティシエを目指す第一歩として、学びの場を選ぶことはとても大切です。

大阪夕陽丘学園短期大学の食物栄養学科 製菓・製パンコースでは、実習を重視したカリキュラムや、現場で活きる技術指導を通して、夢に近づくためのサポートを行っています。

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